研究概要 |
1.平均曲率方程式のディリクレ問題については、1969年にJ.Serrinが肯定的な結果を出している(Phil.Trans.Royal Soc.London, Ser.A, Vol.264)。しかし、境界の形状にある種の凸性すなわち、H-凸条件が必要であった。この条件を取り除くべく、私と中谷政夫が2000年に1つの結果を出した(Nagoya Math.J., Vol.157)。この結果が非定常の平均曲率方程式にも成り立つかどうかが問題になる。最近私と池田義昭が、このことが肯定的であることを立証した。これを学術雑誌に投稿した。これら2つの結果においては、空間領域の境界が適当な座標変換によって超平面に移り、その新しい座標が直交座標系であることが必要である。この直交座標系であるという仮定をゆるめることがこれからの目的である。 2.拡散方程式の解が一意接続性をもつことは、1958年にS.Mizohataによって示された(Mem.Coll.Sci.Univ.Kyoto, Vol.31)。ここで、拡散方程式は高々半線形であることが必要である。準線形になればこのような一意接続性は一般に成り立たない。しかし最近私は、準線形の1つである高速拡散方程式の解について、一意接続性がなりたつことを示した。この論文はTsukuba J.Math.に受理された。
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