研究分担者 |
久保 英夫 大阪大学, 理学研究科, 助教授 (50283346)
清水 扇丈 静岡大学, 工学部, 助教授 (50273165)
根来 彬 静岡大学, 工学部, 教授 (80021947)
太田 雅人 埼玉大学, 理学部, 助教授 (00291394)
星賀 彰 静岡大学, 工学部, 助教授 (60261400)
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研究概要 |
本件の研究目的のうち、今年度は、uに対しF(Du(x))の積分値が対応するという汎函数に対応する作用積分のラグランジュ方程式のうちFが準凸で一次増大度を持つ場合についての研究で進展がみられた。スカラー値の場合には膜の振動方程式と呼ばれる2階準線形双曲型方程式が典型的なものであり,この方程式については研究代表者菊地がすでにいくつかの結果を得ているが,今回の結果はこれらを方程式系に拡張したものである。結論は単独の場合と同様近似解を離散的勾配流の方法で求めその極限がエネルギー保存則を満たせば弱解になるという定理であるが,単独の場合には現れなかったいくつかの困難点が浮かび上がっている。特にエネルギー不等式を得るのに従来は汎函数の凸性を用いていたためそのままではこの方法が適用できないのであるが,近似解を成分ごとに構成することによりエネルギー不等式を得ることができた。しかしながらベクトル値有界変動函数の取り扱いはスカラー値の場合と比べ非常に複雑となるため弱解の定式化自体にもっと考察が必要な様である。本件の他の研究目的についても,研究代表者菊地は北海道大学や愛媛大学などを訪問し,北海道大学儀我教授,利根川助教授,愛媛大学坂口教授ら関連する分野の専門家らと研究連絡を行った。また分担者根来には慶応義塾大学等を,分担者久保にはドイツ,イタリアを訪問してもらい関連する研究者と研究連絡を行ってもらった。本件の研究課題は従来の結果からは結論が予測できない部分が多々あるので,今後は計算機を用いた数値実験などが重要になると考えられる。そのため今年度は数値計算ソフトを購入し第2年目の研究に活用する予定である。
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