研究課題/領域番号 |
14540212
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
伊藤 宏 愛媛大学, 工学部, 助教授 (90243005)
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研究分担者 |
定松 隆 愛媛大学, 工学部, 教授 (10025439)
猪狩 勝寿 愛媛大学, 工学部, 教授 (90025487)
天野 要 愛媛大学, 工学部, 教授 (80113512)
田村 英男 岡山大学, 理学部, 教授 (30022734)
山田 修宣 立命館大学, 理工学部, 教授 (70066744)
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キーワード | AB効果 / シュレディンガー作用素 / ディラック作用素 / 散乱理論 / 散乱振幅 / 磁場 |
研究概要 |
1.伊藤と田村氏は複数個のデルタ型磁場をもつシュレディンガー作用素に適当な境界条件を課し、各磁場の中心を十分離した場合の散乱振幅の漸近挙動を解析し、具体的に主要部を与えた。このことから、中心が固定された複数個のデルタ型磁場による散乱振幅の高エネルギーでの挙動も得られる。これらの研究は複数個のデルタ型磁場に対するアハラノフ-ボーム効果の解析を目指したものである。現在もこれらの研究をディラック作用素の場合に進めており、このためには1つデルタ型磁場をもつディラック作用素に関する詳しい解析が必要である。田村氏はディラック作用素に対して、デルタ型磁場を滑らかな磁場で近似したときのレゾルベントのノルム収束を証明し、ゼロレゾナンスから生じる低エネルギー領域での特異性の解析が本質的な役割を果たすことを明らかにした。また、山田氏は他の研究者とともにアハラノフ-ボーム効果を持つ2次元ディラック方程式の強一意接続定理や3次元ディラック作用素の固有値の非存在についての結果を得た。量子力学におけるアハラノフ-ボーム型ポテンシャルは流体における渦と数学的には密接な関係がある。天野氏は他の研究者とともにポテンシャル問題の高精度高速解法として知られている代用電荷法を適用して,非有界な多重連結領域とさまざまなスリット領域の間の数値等角写像の方法を提案しその有効性を数値実験的に検証した。 2.本研究を通して考えられる今後の研究としては、複数個のデルタ型磁場をもつディラック作用素に関する研究をさらに進めること。また、3次元有界多重連結領域に磁場が閉じ込められた外部ディリクレ問題を散乱理論の立場で解析し、アハラノフ-ボーム効果がどのように散乱振幅に現れるか、特に、領域の位相的性質がどのように反映されるか、を詳しく調べることが挙げられる。
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