研究分担者 |
山岸 義和 龍谷大学, 理工学部, 助手 (40247820)
伊藤 敏和 龍谷大学, 経済学部, 教授 (60110178)
小澤 孝夫 龍谷大学, 理工学部, 教授 (60025913)
石井 豊 九州大学, 数理学研究院, 助手 (20304727)
松岡 隆 鳴門教育大学, 学校教育学部, 教授 (50127297)
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研究概要 |
今年度に得られた主な研究成果は以下の通りである. 岡は特異摂動的ベクトル場のConley指数理論の応用として,時間と共にゆっくりと振動的に変化するある種の非自励的Hamilton方程式系における解の複雑な振舞いを記号力学系的に記述する方法を与えた.また,余次元2以上のconnecting orbitに対するtransition matrixの一般化については,一部修正が必要となり,現在修正中である. 小澤は与えられた頂点に対する配置条件を満たすグラフの平面描画をするアルゴリズムを構築した. 松岡はコンパクト有向曲面上の同相写像で,恒等写像とイソトピック(連続変形可能)なものの不動点の位相的性質について研究した.写像が有限個の不動点をもつとき,それらの不動点指数の和は曲面のオイラー標数に等しいことはよく知られている.ここでは,不動点指数以外に,位相不変量の一つである組ひも不変量も用いて不動点の位相的性質について調べ,不動点の指数についてのより詳細な情報を得た.さらに,不動点の安定性と写像のカオス性に関する成果を得た. 石井は一次元半古典系におけるトンネル効果とそれに対応した複素Henon写像の力学系との関係を研究した.量子力学の複素半古典諭では,ある粒子の遷移確率は複素二次元空間内の経路積分として表され,その積分に寄与しているものの実平面に含まれない経路全体がトンネル効果を記述すると考えられている.この寄与経路全体とHamilton方程式のPoincare断面として得られる複索Henon写像の前方Julia集合との対応関係を数学的に一部正当化した.
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