研究概要 |
研究代表者の岡の今年度に得られた研究成果は以下の通りである:(1)slow-fast systemと呼ばれる特異摂動的ベクトル場は,特異極限における速い部分系とslow manifold上の遅い部分系の挙動の接合からの摂動として理解できるという利点を持つ.そのような系における周期軌道やheteroclinic軌道の存在を,Conley指数と呼ばれる位相的な指数を用いて一般的に与える枠組みを与える代表者らの研究グループによる理論をslow manifoldが高次元の場合に拡張した.目下,論文を準備中であり,また速報が国際会議の記録として掲載予定である.(2)カオス的力学系の典型的な例の1つである区間上の2次関数の定める力学系の1パラメータ族において,正のLyapunov数が存在するパラメータ集合の測度を計算機支援によって評価する研究を開始し,その最初の段階として臨界点近傍の外部に留まる軌道に沿う微分の増大度を評価するアルゴリズムを得た.この研究はさらに次年度に継続する予定である. 研究分担者の業績のうちの主なものは以下の通りである. ・Newton法において多重根を持つ場合,その解への収束の局所的構造を明らかにした. ・正則ベクトル場に対するPoincare-Bendixson型定理を余次元1葉層構造へ拡張することを目的として,あるgenericな仮定の元でその構造を明らかにした.
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