研究概要 |
星周でつくられた炭素質の塵は、環境が変わると変質し、あるいは破壊される。このような一連の過程を明らかにすることを研究の目的とした。 (ダイヤモンド表面への水素付加)塵を構成する1つの成分であるダイヤモンドの変質を明らかにするため、われわれは粒度の異なるマイクロダイヤモンドを購入し、それらと水素との反応を赤外線吸収スペクトルを測定することにより調べた。水素との反応性や水素付加した後の赤外スペクトルが、ダイヤモンドの粒径によって異なることがわかった。(日本天文学会2002秋季、2003春季年会、クラスター利用技術研究会報告) (炭素質の塵表面と酸素・窒素との反応)13.56MHzの高周波電源を用いてプラズマ反応装置を製作した。これを用いて合成した炭素質物質(QCC)の表面に、OCNの官能基の生成を試みたが、W 33Aにみられるような4.62μmの赤外ピークはできなかった。今後、条件を変えてさらに実験を試みる。 (炭素質の塵の炭素同位体)隕石の微少な部分の同位体分析が行われるようになり、それぞれが生成したと思われる天体の種類の推定が行われている。塵の炭素同位体比が異なれば、観測される赤外未同定バンド(UIR)にもその影響が見られると期待される。そこで今回、いろいろな同位体組成をもつQCCを合成し、赤外吸収スペクトルに及ぼす^<13>の効果調べ、観測スペクトルの分析を行った。(Astron.& Astrophys.407,551,2003) (炭素質の塵の生成条件の研究-ガス分析の結果)質量分析計を用いて、QCCが生成するときに同時に生成する低分子ガスの測定を行った。原料ガスの流量やマイクロ波の電力を変えるとガスの化学種が変化することがわかった。(日本天文学会2003年春季年会報告)
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