スターバースト後のレムナントの重力相互作用による中間質量ブラックホール(IMBH)の形成過程、およびその後のIMBH間の重力相互作用による超巨大質量ブラックホール(SMBH)形成過程の研究を行った。 前者の過程では、現実的な恒星レムナントの空間分布は観測されている星の空間分布と同じとし、速度分布はスターバースト銀河M82で観測されているものを採用した。恒星レムナントは、互いの重力相互作用によってゆっくり収縮を続けるが、やがてレムナントの密度が大きくなると、通綬の遠隔2体相互作用に加え3体衝突が重要になり、中心部密度の高いコアが形成されるとともに、周辺部に薄く広がったハローが形成された。このコアの密度が急上昇すればIMBHの形成につながるのだが、そのままでは断熱的になり、それ以上収縮することがない。そこで、ガスを共存させ、ガスの粘性効果による散逸を加えて収縮させることを試みたが、必要なガスの量が非常に大きくなり(恒星レムナントの平均密度の数倍)現実的ではなさそうな結果しか得られなかった。他に、超音速運動をするレムナントの衝撃波の形成、それに伴う散逸効果を考慮したが、100億年の時間スケールでは十分収縮させることができず、新たな冷却メカニズムを考慮する必要がある。 後者の過程では、100億年の間にSMBHへと成長するためには、IMBHの空間分布や速度分布がいかなる状況でなければならないか、の必要条件を吟味することから研究を開始した。それによると、ほぼ1pc立方の仲に100万個以上のIMBHが存在して通常のガウス分布をしておれば、なんとか時間内にSMBHが形成されることが判明した。問題は、前者の高密度コアがせいぜい半径が10pcの球内に10万個くらいの密度にしかならず、4桁の密度ギャップが存在することであり、今後新たなプロセスを導入して解析を進めねばならない。
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