研究概要 |
本研究では、太陽系に最も近い星形成領域でTタウリ型星の深い系統的なサーベイを行い、原始惑星系円盤から原始惑星が形成される過程を詳細に研究するためのサンプルを多数検出することを目的とする。そこで、ハワイ大学と共同で、地上で最も観測条件が良いマウナケア天文台の同大学2.2m望遠鏡用にサーベイに最適化した新しいグリズム分光撮像装置を製作し、上記のサーベイを行い、多数のTタウリ型星の検出することを目指している。 本年度は、グリズム分光撮像装置の製作を主として行い、製作が順調に行けばハワイ大学2.2m望遠鏡でのテスト観測をする予定であった。しかしながら、グリズム分光撮像装置の広視野化を実現しかつ光学収差を十分補正できる光学系の設計に予想以上に時間がかかったため、分光撮像装置の製作は予定よりかなり遅れた。しかしながら、光学設計が完了し、設計および部品の調達は順調に進み、ファーストライト観測は来年度の10月とすることでハワイ大学と合意・決定している。現在、10月の観測の申請を作成中である。また、新分光撮像装置の開発が予定より遅れたため、平成15年2月にはハワイ大学現有のグリズム分光撮像装置も用いてTタウリ型星のサーベイ観測を一部開始した。観測夜が少なく装置の視野が狭いため非常に限られた領域の観測となったが、ハワイ大学側と直接密な打合せができただけでなく、現有の装置の問題点や参考にすべき点などが明らかになり、たいへん有意義であった。 グリズム分光撮像装置の製作およびそのサーベイ観測に関連した、予備的あるいは準備として行った調査/研究ではたいへん成果があった(Ogura, Sugitani & Pickles 2002; Itoh, Sugitani et al.2003; Ogura, Sugitani et al.2003 submitted to PASJ)。
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