本研究により得られた大質量星団の形成に直接間接に関係する新知見は、以下の通りである。 1 近傍銀河の球状星団や中心核星団や若い大質量星団には、その年齢や環境の大きな差異にもかかわらず、共通して、half-light radius内の平均密度と星団質量の間には比較的tightな相関がある。ただし、近傍銀河の球状星団系では、この関係は銀河の内側の領域と外側の領域とで、球状星団の構造パラメータ間の関係同様、系統的に異なる。 2 近傍の楕円及びSO銀河の球状星団系は、親銀河の周りの銀河密度が高いほどその球状星団系の動径方向の密度分布の傾きが浅く、星の数に比べて星団数が多い。 3 近傍銀河の中心核星団(Nuclear Star Cluster; NSC)は、その親銀河の絶対的な大きさを表す量か大きいほど明るい。また、barはその形成機構をコントロールするという兆候がある。 4 特異銀河NGC2276について本研究で行ったCO分子輝線観側のテータ解析によると、同銀河での若い大質量星団が付随していると思われる爆発的星生成は、銀河群ガスの動圧による分子ガスの増加に影響を受けている可能性がある。 5 銀河団中心の楕円銀河は球状星団を異常に多く有することがあるが、本研究によると、この銀河団中心銀河の進化は親銀河団の合体による進化と周辺銀河の吸収という、内的・外的両方の要因の影響を受けている証拠がある。 6 本研究のX線データ解析によると、銀河団中心銀河と同じくらい明るく、X線ハローか銀河群なみの大きさを持つ孤立した楕円銀河のダークハローは構造的にも銀河群のそれと酷似している。しかし、質量-光度比の値は、これらか銀河群の『化石』であるという通説と矛盾する。
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