研究概要 |
今年度は、前年度からの研究の継続結果を発表する一方、数年来の課題であった、スバルを用いた伴星型褐色矮星および太陽系外惑星の探索が本格的の始まったという二つの面がある。 前年度からの継続課題の褐色矮星の大気の研究は、L型およびT型矮星の有効温度の決定(Nakajima, Tsuji, Yanagisawa 2004)及び、光球中のダストのLT型矮星へのダストの影響(Tsuji, Nakajima, Yanagisawa 2004)の二編の論文の形で発表されるとともに、パネラーとして招かれたドイツにおける国際研究会"Cool Stars, Stellar Systems and the Sun 13"でのワークショップでの議論の対象となった。 第二の研究課題は、スバルのコロナグラフを用いた、太陽近傍星の周りの褐色矮星及び惑星の探索で、2004年の夏より本格的観測および、データ解析システムの構築がなされた。コロナグラフのハードウェアの完成と、観測パラメーターの最適化、そして解析ソフトの充実の結果、10万対1のダイナミックレンジが得られ、スバルのコロナグラフは、世界の基準からみても最も高い性能を示していることを見出した。この性能のもと、ターゲットとする近傍星を年齢の若いものに限った結果、木星の数倍の質量の惑星まで検出可能であることがわかった。観測手法を確立したことで、今後の惑星発見の可能性が具体的なものとなってきたと考えている。初期成果とコロナグラフの性能の報告は、2005年2月のすばるユーザーズミーティングで発表した。
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