3次元多重格子法に基づく磁気流体力学シミュレーションによって重力収縮する星間雲の進化を10桁以上の密度範囲において追跡し、その進化の道筋を明らかにすることを目標とした。 1.原始星に近い高密度領域に細かな、周辺部に荒い格子を配置した入れ子状多重格子を用いて星間雲の収縮の磁気流体力学シミュレーションを行うプログラムを完成させた。自己重力解法として多重格子反復法を入れ子状多重格子に適用する方法を見出した。 2.軸対称2次元シミュレーションから、磁場と回転に垂直方向に伸びた円盤が形成され、断熱分子コアが形成されるや、磁場による角運動量輸送によって、円盤から垂直方向に流れるアウトフローが形成されることがわかった。 3.非軸対称3次元シミュレーションから、断熱分子コア形成後の代表的な3種類の進化が明らかとなった。 (1)円盤内に渦状腕を生じ、この腕内部に生じた高密度部分が収縮を続けて原始星連星に成長する。 (2)断熱コア形成前の等温収縮で成長した非軸対称性が棒状構造を生じ、この棒内部に生じた高密度部分が収縮を続けて原始星に成長する。 (3)断熱コアは分裂せずそのまま単一の原始星に成長する。 4.分裂の条件は星間雲の回転角速度と磁束密度の比で決まり、その比が3x10^<-7> yr^<-1> μG^<-1>より大きいことが分裂の条件である。 5.回転ベクトルと磁場ベクトルが平行でない初期状態から出発しても、多くの場合、断熱コア形成中にほぼ平行となり、その磁場に垂直方向に伸びた円盤が形成される。
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