研究課題/領域番号 |
14540241
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
柳田 昭平 茨城大学, 理学部, 教授 (40013429)
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研究分担者 |
吉田 龍生 茨城大学, 理学部, 助教授 (60241741)
榎本 良治 東京大学, 宇宙線研究所, 助教授 (80183755)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | 宇宙線 / ガンマ線 / 銀河 / スターバースト銀河 / ダークマター |
研究概要 |
我が銀河に似たNGC253からのTeVガンマ線を解像型空気チェレンコフ望遠鏡(LACT)により観測し、TeV領域宇宙線の銀河スケールでの分布を解明することを目指した。NGC253は、距離が2.5Mpcと比較的近傍にあるスターバースト銀河であり、超新星爆発頻度が我が銀河のそれよりも数十倍も高く、10kpcにも拡がった電波ハローを持つことで知られた銀河である。CANGAROO II 10m望遠鏡による、ON, OFFそれぞれ約75時間の観測データを解析し、11シグマの統計的有意度でTeVガンマ線放射を検出した。これは、通常銀河からのTeVガンマ線放射の初の検出となった画期的な成果である。またさらに、放射領域が、可視光で見た銀河の大きさよりも拡がっており、現在までに観測された最大のガンマ線放射領域、すなわちガンマ線ハローを発見した。このTeVガンマ線の放射機構は、電子による宇宙背景放射の逆コンプトン散乱によると考えられる。しかしTeV電子がシンクロトロン放射による減速を受けながら数kpcまで拡散できるか疑問が残る。確率微分方程式による宇宙線電子の拡散の数値計算を行い、拡散係数がBohm limitの約100倍以上であれば10kpcまでのハローの存在が実現することを確認した。 このTeVガンマ線放射はTeV電子のハローの存在で説明できることが示されたが、その他の放射機構も考えられる。宇宙線陽子と星間物質との相互作用で生成される中性パイオンの崩壊は、星間物質の総量が少なすぎて否定される。残る有力な機構は、ダークマター(CDM)の崩壊である。観測されたTeVガンマ線放射強度から、0.5から50TeVの質量を持つCDMの存在量について、意味のある上限値をおさえた。
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