1 宇宙ガンマ線空気シャワー特性を検討するため、大気圏外地球磁場とガンマ線との相互作用を考慮したモンテカルロコードの作成を行い、大気圏入射時点での二次ガンマ線、電子成分のエネルギースペクトラムを評価した。またそれらによる大気圏内での空気シャワー発達は、AIRES空気シャワーシミュレーションコードを用いてデータベース化した発達曲線から、個々の2次粒子エネルギーに従いサンプリングし、それらを重ね合わせることによりシャワー発達を再現した。 2 同計算は、科研費領域研究課題として建設段階にあるテレスコープアレイ日米実験計画観測地アメリカ・ユタ州における地球磁場要素を仮定し、10^<19>eV以上のガンマ線と陽子入射によるシャワー発達曲線の比較を中心に行い、以下のことを明らかにした。 (1)ガンマ線入射シャワーに対しては、LPM効果が10^<19.3>eV以上で効き始め、シャワー発達はエネルギーとともに遅くなるとともにその揺らぎは急速に大きくなること。 (2)一方で、地球磁場とガンマ線の相互作用は10^<19.2>eV付近から地球磁場強度・入射エネルギーに依存して大きくなり、その結果、大気圏外での磁場カスケードにより細分化されたエネルギーを持つ低エネルギー2次ガンマ線群の生成とそれらによる大気圏内でのシャワー発達特性の反映から、LPM効果とは反対に早い発達を示すようになること。 (3)両者の寄与は、エネルギーとガンマ線到来方向に係わる地球磁場強度に関連し、それぞれを関数としたとき、シャワー発達においてガンマ線固有の特徴的な差異を見いだすことができ、これは陽子成分を入射粒子と仮定した場合には現れてこない特徴であること。 (4)超高エネルギー宇宙ガンマ線検出可能性については、その解析パラメータとして、実験的に得られる最大シャワー発達平均高度についてシャワー到来方向・エネルギーに関する依存性、また個々のシャワー発達の揺らぎ量に注目し、宇宙線陽子成分入射の場合との差異を解析することにより、その検出を効率的に行えること。
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