本年度は、ニュートン重力でr-modeを扱うことに成功した定式化を一般相対論に拡張することを試みた。その際、r-modeが動径方向に対して垂直な方向の運動を主体とする振動であり、また一般相対論的なメトリックの摂動を扱うことが極めて難しいので、本研究では重力場の変動が無視できるというCowling近似を用いている。この近似のもとでは、扱うべき方程式は運動方程式、連続の式、状態方程式となる。状態方程式としては、平衡状態にポリトロープを仮定し、断熱的な攝動を与えた。 こうして定式化した方程式系を、表面に合わせた座標系を導入し、その座標系へ攝動方程式を変換した。これによって、数値計算の際に表面における境界条件を容易に課すことができる。固有値方程式を解くための境界条件は、1)恒星の中心部での攝動の正則性、2)恒星表面での圧力のLagrange変化がゼロとなることである。 数値計算を実行してr-モードを計算するために、ニュートン重力で有効であった変数の展開を用いた。つまり、θ方向にはsin^κθで展開して、展開係数についての連立常微分方程式にし、γ方向には差分化することで得られる代数方程式を基本方程式とした。さらに、固有関数に対し規格化条件をつけることで、固有値問題を非線型連立代数方程式として、Newton-Raphson法により解を求めた。その結果、現時点では、重力場の強くない範囲ではニュートン重力で得られたモード同じ振舞いの振動を得ることができた。今後は重力の強い範囲へ計算を拡張していく。
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