広視野を常時観測できる空気シャワー観測装置は、チベット空気シャワー実験に代表されるようにTeV領域のガンマ線放射天体を観測することに成功している。しかしながら、次の重要なステップであるTeV以下のエネルギー領域を測定できる高密度な空気シャワー観測装置はまだ実用化されていない。次世代空気シャワー観測装置はデータ量が増大し、トリガ頻度が飛躍的に高くなる。本研究は次世代装置ための高速データ収集システムを開発することである。 14年度は高速化のため、TKO規格の電荷時間変換モジュール(DCT)の開発と製作を行った。ADCゲート幅は最大2μs、分解能0.08pC/count、フルスケール14bit、変換時間10μsの当初予定の性能を達成した。さらにFASTBUSからPCへのデータ取り込みをVMEを経由した分散並列データ処理をおこなう新しい発想のデータ収集システム開発のための基幹サブルーチン群の開発を行なった。 15年度は試作したTKO規格の電荷時間変換モジュール(DCT)の改良を行ない、更なる低ノイズ化を実現した。またデータ収集システム開発のための基幹サブルーチン群も改良を行ない、安定動作と更なる死時間の減少を実現した。これらのモジュールとサブルーチン群は既存のチベット空気シャワー観測装置に組み込まれた。これらの効果により、チベット空気シャワー観測装置の死時間は1700Hzトリガ時に10%となり、現在も安定動作している。これらの開発によって、将来における高トリガ頻度次世代高密度空気シャワー観測装置のデータ収集システムを構築することが可能となった。
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