高エネルギーガンマ線検出のためのチェレンコフ望遠鏡のオートメーションIT化の研究

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14540247
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 榎本 良治 東京大学, 宇宙線研究所, 助教授 (80183755)
• 研究分担者: 森 正樹 東京大学, 宇宙線研究所, 助教授 (80210136)
• キーワード: 宇宙線 / チェレンコフ / ガンマ線 / 高エネルギー / 観測 / IT / 自動化 / 望遠鏡

研究概要

高エネルギーガンマ線検出のためのチェレンコフ望遠鏡のオートメーション化およびIT化の開発研究を行った。
宇宙から来る高エネルギーガンマ線(可視光の約1兆倍のエネルギーをもつ光)の検出は宇宙線の起源を研究する上でもっとも効率的な方法である。現在世界の数箇所に大口径の反射望遠鏡(イメージングチェレンコフ望遠鏡)がつくられつつある。我々は世界最大級の口径(10m)の反射望遠鏡をすでに3台オーストラリアの砂漠地帯に建設ずみで今年度2台によるステレオ観測をスタートした。これほど大口径の望遠鏡を複数台同時に稼動させたのは我々が世界初である。来年度には4台の望遠鏡を稼動できる見込みである。
現在我々は2台の望遠鏡を制御する目的で3人の研究者を現場に派遣している。これら4台の望遠鏡は来年度の完成後も10年近く運用していかねばならない。観測ターゲットは星の数ほどあるわけである。これらを見通し観測機器のオートメーション化を行い観測に必要な人員数をへらす努力を行わねばならない。
今年度はこれに先立ち、各種電子回路のオンライン制御下、およびカメラ開閉装置の自動化を試みた。いずれも柏キャンパスにおける性能試験は良好であった。
来年度はこれらの現地での設置、およびさらなる電子制御機能の開発をおこなう。
また日本からのネットワークによる望遠鏡制御の可能性の検討も開始した。現在のところは近隣の町にADSLなどの高速回線が整備されていないのでとりあえず衛星回線によるIT化の検討を行っている。現状ですくなくとも一部のモニターのネットワーク化は可能であるとの結論を得た。ただし、少なからぬ初期投資と維持費が必要ではある。

研究成果

• [文献書誌] R.Enomoto et al.: "The acceleration of cosmic-ray protons in the supernova remnant RX J1713.7-3946"Nature. 416. 823-826 (2002)
• [文献書誌] C.Itoh, R.Enomoto et al.: "Detection of diffuse TeV gamma-ray emission from the nearby starburst galaxy NGC 253"Astronomy and Astrophysics. 396. L1-L4 (2002)
• [文献書誌] C.Itoh, R.Enomoto et al.: "Galactic gamma-ray halo of the nearby starburst galaxy NGC 253"Astrophysical Journal. 584. L65-L68 (2003)
• [文献書誌] S.Kabuki et al.: "Development of an stmospheric Cherenkov imaging camera for the CANGAROO-III experiment"Nuclear Instrument and Method. (掲載予定). (2003)
• [文献書誌] C.Itoh, R.Enomoto et al.: "Evidence of TeV gamma-ray emission from the nearby starburst galaxy NGC 253"Astronomy and Astrophysics. (掲載予定). (2003)
• [文献書誌] K.Okumura et al.: "Observation of gamma rays greater than 10 TeV from Markalian 421"Astrophysical Journal. 579. L9-L12 (2002)
• [文献書誌] R.Enomoto(Editor): "Universe viewed in gamma-rays"Universal Academy Press. 630 (2003)