カンガルー計画においては現時点で南オールトラリアのウーメラにおいて計4台の大型チェレンコフ望遠鏡が稼動し始めた。各望遠鏡の口径は10mであり、同規模チェレンコフ望遠鏡はアフリカに1台、北半球に2台あり、これにより全天をカヴァーしつつある。 現場は砂漠地帯であり、電話と電気があることのほかは、水もなく、また高速ネットワーク(ADSLなど)もない。このような状況のもと観測シフトには4人の科学者を毎月派遣している。ほぼ一人が1台の望華鏡のオペレーションにかかわっている状況である。これによる支出は年間1000万円を超え、今後の運営に重大な問題を環残している。 今回の科研費によりこの人員をすこしでも削れるようにオートメーション化の一部を施した。具体的には観測所内におけるネットワークを駆使し、手動であった装置を計算機コントロールできるような変更をほどこした。また、無線設備を駆使することにより望遠鏡間(100m)の配線も最小限にした。 柏キャンパスにおいて観測コントロールプログラムの最適化を検討したが、やはり電話による日本からのコントロールには転送速度限界による無理があり、またこれを衛星回線にしても、まだ厳しいとの結果が得られた。また衛星回線による設備投資、運営費用も見積もられ、採算性に問題があることがわかった。最低ADSLなどの高速回線を15km先のウーメラ村まで開通させることが先決でありこれからオーストラリア側とも交渉していく必要がありそうである。すくなくともウーメラまで回線がくれば、そとから観測サイトまでは無線でつなげられる。 以上の研究により今後の望遠鏡運営が3人で行えるとの見通しはついた。今後の課題としてウーメラまでの高速回線をなんとかするのが最重要課題であり、これは科研費の範囲を超えているので、今後は違う形での研究を推し進めていかねばならない。
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