研究概要 |
1.質量ドリップライン近傍核である0,Ca, Niを対象にしたcHFB(座標表示Hartree-Fock-Bogoliubov)平均場計算から、ダイニュートロン相関の特徴の定量的詳細を明らかにした。相関中性子対は、2-3fm程度以内の相対近接領域で強く相関し、この近接領域に存在する確率が30-50%に達すること。核表面付近から核表面から2-3fm程度外部領域にある中性子過剰核のスキン領域でもっとも顕著となる、などである。核の内部や安定核においてもダイニュートロン相関がみられることも明らかにし、ダイニュートロン相関が原子核における対相関の一般的性質であることも示した。 2.ダイニュートロン相関の量子多体論的な微視的構造に関して、Hartree-Fock1粒子状態を基底とした配位混合の観点から分析した。ダイニュートロン相関の形成には高い軌道角運動量をもつ1粒子軌道および10-50MeV程度の高い準粒子エネルギーをもつ1粒子軌道の配位混合の寄与が重要であることを解明した。 3.一様核物質中のダイニュートロン相関を分析し、通常密度の1/5から1/100程度のスキン領域に対応する低密度状態において最も顕著なダイニュートロン相関が生じることを明らかにした。ゼロレンジ有効力との比較から、ダイニュートロン相関が有限レンジであるかどうかに依らない普遍性を持つことを明らかにした。 4.質量領域ドリップライン近傍球形核におけるソフト双極子励起の研究については、cHFB線形応答理論(連続状態QRPA理論)により、中性子間の対相間の結果ソフト双極子励起が、粒子空孔型励起ではなく粒子対型励起となる原因の分析を行なった。1粒子軌道の分析から、高い軌道角運動量軌道の寄与がこの増大の主要な原因であること、また、この理由から、このモードがダイニュートロンの相対運動としての性格を持つ励起モードであることを明らかにした。 5.Skyrme有効相互作用をcHFB平均場計算での組み込んだことに加え、cHFB線形応答理論においては速度依存(スピン非依存)項から付随する密度場と応答関数の定式化を球対称の場合の定式化を完成した。
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