当研究の目的は、重力を含まないKaluza-Kleinの理論において、正則化依存性をコントロールすることができ、量子補正を計算することは、物理的に意味があることなのかを詳しく調査し、Kaluza-Kleinの理論が、量子論としてどういうふうにして意味のある予言をすることができるかを研究するのが目的である。今年度は、余分な次元(5次元目)が小さな円にコンパクト化されているSU(2)ゲージ理論を非摂動論的に解析することに挑戦した。一般には、4次元以上のゲージ理論はくりこみ不可能で、摂動論の計算がどれほど信用できるか分っていない。具体的には、理論を格子上で定式化し、Monte Carlo simutationを使って、スタティクなクォーク間のポテンシャルやストリングテンションを計算した。そして、円の半径が十分に小さいと、ポテンシャルやストリングテンションはスケーリング則を満たしていることを見い出した。この結果は、スケーリング則が成り立っている領域では、この摂動論的にくりこみ不可能な理論が、非摂動論的にはくりこみ可能な理論のように振る舞っていて、予言力のある理論であることを示している。また、半径を小さくしていくとスケーリング則が変化し、5次元の理論がしだいに4次元的に振る舞っていることを示している。これは世界で始めて得られた結果である。
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