研究概要 |
超対称量子力学におけるN重超対称性の多次元拡張に取り組んだ.N重超対称性は1次元量子力学において,その摂動係数の漸近的振舞いから発見され,通常の超対称性の拡張になっている.これは超対称性と多くの性質を共有するために,多次元,場の理論への拡張の可能性が重要であり,青山はそれを解明するべくこれまで研究を行ってきた.今まで多くの可能性を探ってきたが,今年度は特に3次元空間の量子力学で,詳細な計算を行い,その存在を確証した. その構成においては,N重超対称性代数を満たすべきポテンシャルの対と超電荷の形に対してある仮定をおく.そして,代数関係から,その仮定における未知関数についての連立偏微分方程式を得る.これは一般に極めて複雑な一連の方程式となっているが,それが解を持つことを証明できれば,この超対称性が存在することが証明できる.本研究では,本年度にその証明を完成し,さらに一般解を求めた.これによって超対称モデルの構築が可能となった. また,可解模型との関連では形状不変なポテンシャル対の存在が重要である.上記の一般解についてその探索を行った結果,(まだ前段階的な結果であるが)そのようなポテンシャル対は3次元では存在しないことが示唆された. なお,これらの研究結果はいずれ,網羅的な論文として発表する予定であるが,現段階ではまだ研究成果をさらに積み重ねることを重視している.(口頭では,基礎物理学研究所研究会,日本物理学会等で発表を行った.)
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