研究概要 |
有限自由度の量子系が離散エネルギースペクトルを持つ場合に,その量子力学的スペクトルのh部分と,平衡位置での古典連成振動系の周波数との関係を与える一般定理を証明した. それらをCalogero-Sutherland系とRuijsenaars-Schneider-van Diejen系で具体的に確認した. 可解及び準可解量子多体系について,それらの平衡点とそれを記述する多項式については,非常に理解が深まった.古典直交多項式(Hermite・Laguerre・Jacobiなど)とその変形(Meixner-Pollaczek,連続(双対)Hahn, Wilson, Askey-Wilsonなど)の関係はよく知られているが,それらがCalogero-Sutherland系の変形であるRuijsenaars-Schneider-van Diejen系の平衡点を記述するものとして理解できたことは大きな成果である. 更にこれらの多項式系が,‘離散的'1粒子量子力学の形状不変(shape-invariant)ポテンシャルの厳密な固有関数になっていることも興味深い.これらの平衡点を決定する方程式や,準可解系のスペクトルを決定する方程式が,Bethe仮説の方程式と非常に類似した形で書かれることは,更なる研究の方向を示唆している. 一般の楕円ポテンシャルを持つ可解・準可解多体系・スピン系に関しては,高スピンのBelavin模型やRuijsenaars-Schneider系の解に対応した楕円的量子群とそれらについてのBethe仮説の構造の理解にかなりの進展があった.
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