研究概要 |
A.ハドロン物質中でのシグマ中間子のソフト化の検証: (i)非線形シグマ模型の枠組みで上記のカイラル対称性の回復がどのようにシグマやロー中間子のチャンネルの強度関数に反映されるのかを明らかにするために、N/D法を有限密度系に適用し、カイラル対称性の回復とともに、信頼できるいくつかのカイラ模型の場合にシグマとローのチャンネルでスペクトル関数およびポールのソフト化が起こることを示した。 (ii)(d,^3He)反応や(d, t)反応を用いて、シグマ中間子を原子核中に作る過程の断面積の入射エネルギー依存性を計算し、実験による観測可能性について議論した。 B.カラー超伝導(CSC)前駆現象およびベクトル型相互作用の効果: (i)100MeV程度以上まで温度が上昇する重イオン衝突でCSCの検証可能性を探るために、その正常相での対場の作る集団モードの特性を調べた。その結果、前駆的なゆらぎの領域が通常の超伝導に比べて10倍以上も大きく、カラー超伝導体の特性は高温超伝導体に近いことが示唆された。 (ii)通常のカイラル模型では考慮されているにも拘らず、これまでのCSCの研究は取り入れられなかったベクター型の相互作用(V-I)の効果を平均場近似で調べ、カイラル凝縮体、超伝導ギャップそして密度を温度と化学ポテンシャルの関数として自己無撞着に求め、相図を確定し、V-Iの効果を明らかにした。予想もしなかった成果として、理論的に許容されるV-Iの強度な範囲で、これまで知られていなかった2つ目の1次相転移点の終点が現れる可能性があることがはじめて示された。
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