研究概要 |
窪田は,SNOの荷電カレント実験における輻射補正を調べた。中心となる問題は,以前Kurylov et alによってなされた計算で,G_A/G_V比に対する補正がどう扱われているかを数値的に調べることであった。その結果,Gamow-Teller遷移における定数項は,Kurylov et alではFermi遷移における定数項にすりかえられていることが数値的に判明した。この操作は結果的には正しいという論理を構築できた。次に中性カレント実験における輻射補正については,Gamow-Teller遷移での定数補正項は荷電カレントの場合と異なり,Kurylov et al.の計算は誤りであることが分かった。われわれは,全ての計算をやり直して正しい計算方法を提示し,数値的な結果を論文としてまとめた。 稲見は,非可換時空のもとでの場の理論の因果律の条件について調べた。非可換幾何の場合の非局所性の結果,光円錐が変更を受けること,エネルギー条件が変更を被ることを明らかにした。また,4次元N=1/2超対称性の理論では中心拡大が許されることを示し,その中心拡大を計算した。また,N=1/2超対称なゲージ理論において小西アノマリーをも決定した。特にホロモルフィックな部分については,ラグランジアン中に含まれる新しい結合項によって決定されることを示した。さらにまた,非可換な超空間上の2次元CP**(N-1)超対称非線形シグマ模型での量子論的な補正を調べた。このモデルは繰り込み可能であることを示し,N=2の超対称性の場合には、いわゆるC-deformationの影響が現れないことも示した。
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