研究課題
基盤研究(C)
ブルックヘブン国立研究所(BNL)加速器試験施設(ATF)に設置された線形加速器の電子ビーム(エネルギー60MeV)とCO_2レーザー(波長10.6μm)を衝突させると、逆コンプトン散乱によって反跳された光子は最高6.5keVの運動エネルギーを持っX線となる。この実験では、パルス長3.5psecの電子ビームとパルス長180psecのCO_2レーザーを衝突させているため、実際にはレーザー光のうち、焦点付近Rayleigh長程度の距離(約1mm)しか、散乱に寄与しない。技術的に困難なCO_2レーザーの短パルス化を行なうことなく、レーザーを有効に利用し、生成X線の強度を高める手段として、プラズマチャネルを利用してレーザーを焦点程度のサイズのまま数cm輸送する方法がある。プラズマチャネルの生成には、Hebrew大学が開発した、キャピラリー放電法を用いる。CO_2レーザーに対するプラズマ臨界密度より2桁程度伝密度10^<17>/cm^3のプラズマを生成し、レーザーを25mm長のプラズマチャネル内に輸送できることが確認できた。電子ビームをプラズマチャネル中に入射したところ、ビームに加速・減速と収束・発散効果が見られた。これは、プラズマ航跡場によるものと考えられる0長さ17mmのプラズマチャネル中で、最高0.6MeVの加速が観測された。これは、35MeV/mの加速勾配に相当する。プラズマ航跡場が電子ビームに与える影響を調べるため、UC Berkeleyで開発されたコードOOPIC (Object-oriented particle-in-cell)を用いてparticle-in-cell法によるシミュレーションを行なった。60MeVの電子ビームを、長さ17mmの、電子、水素イオン、炭素イオンを3:2:1で混合させた一様密度のプラズマ中に通したところ、プラズマ密度1×10^<15>cm^<-3>の時に、最大の加速が得られた。この時の加速は、約0.5MeVであり、実験結果と、ほぼ一致している。
すべて 2003
すべて 雑誌論文 (4件)
Applied Physics Letters 83
ページ: 3459-3461
Physical Review Letters 91
ページ: 014802-1-014802-4
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Phys.Rev.Lett. 91
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