研究概要 |
高い次元に埋め込まれた膜は,埋め込み方を特徴付ける外的な幾何で記述される.この点に着目して,ビッグバン・ブレイン宇宙モデルの大域的構造を研究した.空間的に一様等方な標準宇宙モデルでは宇宙の初期特異点は空間的になるが,ブレイン宇宙では初期特異点は因果的に点的であり,宇宙の地平線問題は存在しないことを示した.また,平坦なモデルと開いたモデルには光的な特異点が現れることを見出した.また,ブレイン宇宙では4次元宇宙である膜は5次元バルク時空の場に対して時間的に運動する境界面となり,量子論的に場の量子が生成される.簡単な膨張ブレイン宇宙モデルを用いて,生成されるエネルギー運動量を評価し,この放射が重要になるのは,宇宙の物質密度のスケールが1TeV程度のときであることを示した. 重力崩壊で形成される裸の特異点が観測的にどのように見えるかについて数値的に解析し,結果として,裸の特異点は円盤状に観測され、中心に近いほど赤くなることを明らかにした. 5次元時空におけるブラックホール地平線(apparent horizon)の形成条件に関して研究し,重力定数x質量より小さな面積をもつ2次元面が、あらゆる方向から通り抜けられるような領域に質量Mが押し込められるとき、地平線が形成される」という高次元hoop conjectureを提案した. 重力を含む統一理論の観点から興味深い高次元重カインスタントンにたいし,新しい解を見出し,それが1径数族をなすことを示した.
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