研究概要 |
ブレイン宇宙など,高次元の最大対称時空を標的時空として埋め込まれた部分多様体のもつ対称性は,標的時空のもつ等長変換群の部分群となる.この連続的な部分群を生成するキリングベクトル場を等長変換の引き戻しによって分類した.一例として,4次元Minkowski時空では,キリングベクトル場は7個の族に分類されることが明らかになった.この結果は,一様なブレイン宇宙論を包括的に展開する端緒となる. また,5次元Einstei-Maxwell系で,無限遠においてコンパクトな余剰次元をもち,かつ,4次元的に平坦な時空に漸近するような性質をもつブラックホール解を構成し,特異点,事象の地平線など幾何学的な性質を明らかにした. コズミック・ストリングは合体し線密度の大きなストリングになりうる.そこで,ブレイン宇宙でこの合体がどの程度発生するかの評価を行い,重力崩壊してブラックストリングになるほど大きな線密度になりうるモデルパラメターの範囲を特定した. また,5次元一般相対論において、4次元的回転楕円体状に分布した質量が地平線を形成するための必要充分条件(ハイパーフープ予想)を数値的に明らかにした。 高次元ブラックホール解とEinstein計量との関係を研究し,ブラックホール解から一連のコンパクトな多様体上のEinstein計量を導くことに成功した.また,ブラックホール解とEinstein-Sasaki空間との関連を見出すことによって,微分幾何学に基づく一般相対論と超弦理論に基づく統一理論の橋渡しに一つの可能性を開いた.
|