研究概要 |
1.ブレイン宇宙モデルの大域的構造を研究した.空間的に一様等方なブレイン宇宙では初期特異点は因果的に点的であり,宇宙の地平線問題は存在しないことを示した.また,ブレイン上の重力波は見かけ上光速を超えることを示した. ブレイン宇宙など,高次元時空に埋め込まれた部分多様体のもつ等長変換群を生成するキリングベクトル場を7つの族に分類した. 2.高次元時空におけるブラックオブジェクトの形成に関する研究をおこなった.無限に長く分布する物質が存在する場合,物質分布が十分細ければ,ブラックストリング的な見かけのホライズンが形成されることを明らかにした.これより,5次元時空のアインシュタイン理論におけるホライズン形成の必要条件に関する予想(ハイパーフープ 予想)を提案した. また,5次元Einstei-Maxwell系で,無限遠においてコンパクトな余剰次元をもち,かつ,4次元的に平坦な時空に漸近するような性質をもつブラックホール解を構成し,特異点,事象の地平線など幾何学的な性質を明らかにした. 3.弦理論およびM理論における研究を動機として,Einstein計量を研究した.5次元anti-de Sitter Kerrブラックホール解を使って,新しいEinstein計量を誘導した.さらに,これらの計量をゲージ理論/重力理論対応の視点から議論した.
|