研究概要 |
本研究は、^<40>K,^<50>V,^<138>Laなどの極微量な超長寿命の天然放射性核種に対して、精密レーザー核分光を行い、超微細構造と同位体シフトを測定することによって、これらの核種の電荷分布、核変形、電磁モーメントなどの情報を求めることを目的としている。これらの情報は、宇宙物理研究の基礎的な不可欠のデータとなり、原子核の模型を検証でき、原子核構造の解明に貢献できる。 今年度は予備的な実験として、波長可変半導体レーザーを用いて、Y原子の高分解能レーザー分光を行った。まず、Electron bombardment法を用いて、高融点元素であるYの原子線を生成し、レーザー誘起蛍光分光法により共鳴波長の668.8nm及び679.4nmの2つの光学遷移の超微細構造スペクトルを観測した。超微細構造スペクトルから、^<89>Yの4つの原子準位の超微細構造定数Aを決定し、電子の原子核位置に作る磁場を見積もった。2つの下準位の超微細構造定数Aは文献値と一致し、2つの上準位の定数は今回初めて得られたのである。 また、原子とレーザー光との相互作用領域に磁場を生成し、Zeeman効果を研究した。Rb原子の基底状態からのD1(694.8nm)とD2(680.0nm)光学遷移を用いて、原子の磁場中における超微細構造スペクトルを測定し、Zeeman分岐エネルギーと磁場強度の依存性を調べた。そして、Zeemanスペクトルを解析し、Rb原子の^2_<1/2>準位のg因子(Gyromagnetic ratio)を求めた。
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