研究概要 |
本研究は、超絃のモジュライが固定される基本的な機構を解明することを目指し、超絃が「特異」な多様体上にコンパクト化された時の性質を調べ、より自然に現実的な模型を構成する可能性を探ることを目的とするものである。本年度は、自明でないラモン-ラモン(Ramond-Ramond)フラックスをもち、最大に超対称性を保つものが存在することかち最近注目を浴びた、PP(Plane-fronted with parallel rays)波背景場における超絃のコンパクト化についての研究を主に行った。 ラモン-ラモンフラックスがある場合、通常のNS-R形式で超絃を摂動論的に量子化することはできないが、最大に超対称なPP波解中ではグリーン-シュワルツ(Green-Schwarz)作用がフェルミオニック変数の2次までで表わされ、量子化できることがメツァエフ(Metsaev)により見いだされた。我々は、ペンローズ(Penrose)極限で得られる一般の平面波解中でタイプIIBグリーン-シュワルツ作用が、常に2次で切れることを厳密に証明することに成功し、また超共変微分で表わされる2次の項を正確に求めた。 最大に超対称なPP波解は、AdS_5×S^5から受け継がれた多くのアイソメトリーをもつ。我々はさらに定数ノルムをもつ2つのマイケルソン(Michelson)サイクルをコンパクト化し、そこでの超絃が平坦な背景場中と比較してあるゼロモードが欠損し、半分のナレイン(Narain)格子しかもたないにもかかわらず、O(2,2;Z)T-デュアリティーが依然として成り立つことを示した。
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