軽い原子核から重い原子核までの幅広い質量数領域の原子核の構造の性質を再現できる相互作用として、まず有限レンジの3体力項を含む相互作用を開発した。 α-α散乱のPhase shiftやαの大きさなど非常に経い原子核の性質を再現すると同時にp殻原子核やsd殻原子核の基底状態の半径や結合エネルギーを系統的に再現することに成功しただけでなく、核物質の飽和密度あ飽和エネルギーまでも定量的に再現することができた。また、従来よく用いられているゼロレンジ密度依存力ではα粒子の半径と結合エネルギーおよび核物質の飽和密度と飽和エネルギーを同時に再現するには不可能であることを確かめ、有限レンジ3体力の重要性を確認した。 このように開発した新しい有効相互作用を反対称化分子動力学法に適用し、質量数40までのZ=N原子核の構造を計算した。さらに、不安定原子核への適用としては、中性子過剰な0アイソトープの計算を行い、結合エネルギーが系統的に再現できることを確かめた。Cアイソトープの計算では、半径の系統性に着目し、実験値との比較を行い、中性子過剰なCアイソトープでの中性子スキン発達について定量的に調べた。 さらに、ゼロレンジ3体力項を含む新しい有効相互作用の開発を行い、ほぼ完成した。ゼロレンジの場合には、α-α散乱のPhase shiftを定量的に再現することはできないがP殻核以上の原子核の基底状態の半径や結合エネルギーを系統的に再現することができた。
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