軽い原子核から重い原子核までの幅広い質量数領域の原子核の構造の性質を再現できる相互作用として、まず有限レンジの3体力項を含む有効相互作用を開発して、原子核の構造計算を行った。構造計算は、AMD(反対称化分子動力学法)+GCMの手法を用いて、28Siにおける低励起の変形共存(葉巻型とパンケーキ型)と高励起の分子的状態を同時に記述することに成功した。さらに、40Caでは最近実験で見つかった超変形状態の上に、Si-Cクラスター的な分子的状態が現われることを理論的に予言した。超変形が8重局変形をもつ洋なし型であることも理論的に予言した。 さらに、相互作用に関してゼロレンジの密度依存項を含む有効相互作用について、p殻原子核やsd殻原子核の基底状態の半径や結合エネルギーおよび核物質の飽和点での密度とエネルギーを系統的に再現できるパラメータを複数セット開発した。2体力の相互作用レンジに着目して、有効相互作用の違いが原子核や核物質の性質にどのように反映するかを調べ、40CaのGiant monopole resonanceの励起エネルギーが等しい場合にも核物質の非圧縮率が相互作用レンジに依存することを確かめた。
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