研究課題/領域番号 |
14540291
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鈴木 修吾 筑波大学, 物質工学系, 講師 (90241794)
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研究分担者 |
中尾 憲司 筑波大学, 物質工学系, 教授 (30011597)
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キーワード | 電場効果ドーピング / 分子性固体 / C_<60>単層膜 / 第一原理計算 / 2次元エバルト和 / ホールドープ / バンド構造 / 超伝導 |
研究概要 |
本年度は、C60単層膜に電場をかけることにより、ホールをドーピングした系について計算を行った。計算に先立ち、2次元系におけるエバルト和のプログラム開発を行い、これにより効率良く電場効果ドーピング系の構造と電子状態を計算可能となった。まず、C60分子あたりホールが3個ドープされた系の計算を行った。その結果、ホールの分布は電場が印加されている側に大きく偏っていることがわかった。また、構造最適化の結果、電場が印加されている側の最も外側にある3本のC-C結合に顕著な伸びがみられることがわかった。これは、ホールの分布がその近辺で最も大きいためであると考えられる。さらに、最適化構造において電子状態計算を行った。その結果、電場効果ドーピングにより、バンド構造は大きな変化を受けるものの、これらのバンドの起源は電場が印加されていない状態のものとほとんど同じであることがわかつた。また、これと同時に、状態密度も電場効果ドーピングにより顕著な変化を受けることがわかった。特に、フェルミ準位近傍に大きな状態密度をもつピークが存在するため、フェルミ準位をこのピークに位置させることができた場合、高い転移温度をもつ超伝導体となることが期待される。来年度は、ホールドープ系での構造や電子状態のホール濃度依存性を明らかにし、さらに、電子ドープ系の研究にも着手する予定である。
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