研究概要 |
ナノ構造(Ga, Ge)カルコゲナイド半導体の光物性の研究では、GaSe(セレン化ガリウム)やGeS(硫化ゲルマニウム)等のカルコゲナイド系半導体に注目している。 GaSeのナノスケール微結晶の光物性を測定するため、ガス中レーザアブレーション法で試料の作成を行った。ガスの圧力を変えて、試料を作成し,ラマン散乱、光吸収、蛍光測定、X線回折測定をおこなった。今年はTEMの測定に成功し、サイズの直接観測ができた。Heガス圧力が1Torrのときのサイズ分布の測定では、粒子の平均のサイズは6.8nmであることがわかり、比較的大きい粒子は(〜10nm)は数nmオーダの小さな粒子がお互いに会合・凝集した結果であることがTEM像からわかった。量子サイズ効果によりバルク結晶の光学吸収端よりもブルーシフトし、2.2eV付近にバンド間遷移の吸収スペクトルが観測される。発光スペクトルはガス圧の増加に伴い一旦は300meVほどレッドシフトするものの、1Torrを境にブルーシフトしている。これは試料作成時のプルームの挙動が、ナノ粒子形成に影響を及ぼしているためと考えられる。 GeS系のレーザアブレーション法による微結晶について研究をすすめ、ラマン散乱、PL測定、光吸収、TEMの測定に成功し、サイズ依存性を研究した。ラマン散乱測定では結晶とアモルファスのラマン散乱が重ね合わさったスペクトルが得られた。TEM測定によりArガス圧低下に伴い粒径が小さくなる事が分かった。光透過・吸収測定のエネルギーギャップのシフト(量子サイズ効果)はTEM観測による粒径減少を反映している。また、光照射による結晶化、アニーリングによる構造変化等の研究が進んだ。不純物を添加した結晶に付いてはラマン散乱を測定し解折中である.その他に、ナノ構造変化として、欠陥カルコパイライトの圧力下の構造変化を調べ報告した。
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