研究概要 |
新規ナノ構造体創製のうえで、非常に高いポテンシャルを秘めたレーザーアブレーション法を用いることにより、層状半導体GaSeをナノ粒子化し、その光学的性質について研究を行った。 アブレーション時の雰囲気ガスの種類とその圧力によりGaSeナノ粒子のサイズ分布が変化することを確認した。また照射パルスレーザー強度によりデブリ形成効率が大きく変わることも明らかにした。 GaSeナノ粒子の光吸収測定ではサイズ変化に伴う量子閉じ込め効果、PL測定からはナノ粒子表面準位または欠陥準位による発光を確認した。3D閉じ込めを考慮した有効質量近似にて、量子サイズ効果に伴う最低励起エネルギーのシフトを計算した。また電子、正孔の異方性をとりいれた2D閉じ込めを考慮した有効質量近似を用いることにより、GaSeのバンドギャップは層間方向の閉じ込めに対しより敏感に反応し、変化することを明らかにした。 ラマン散乱および赤外吸収測定により、GaSeナノ粒子内に閉じ込められたフォノン状態の、雰囲気ガス圧力と種類の変化に伴う変化を研究した。233cm^<-1>のTOフォノンモードの消失を確認し、ナノ粒子内部の分極率が遮蔽されたことによる効果であると解釈した。もうひとつの表面効果として55cm^<-1>,230cm^<-1>付近に、ナノ粒子化による新規フォノンモードが観測され、表面フォノンモードである可能性について議論した。層間圧縮振動モードであるA'_1モードをCampbell-Fauchetの式で解析を行った。 一方でA'_1(2)モードの低波数シフトは、力定数モデルでの計算により、層内Ga-Ga結合および層内振動モードに乱れが生じたことが原因であることを示唆した。また最低励起エネルギーの考察と同様、2Dおよび3Dにおけるフォノン閉じ込め効果を考えることにより、フォノン閉じ込めの次元について研究した。
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