超短光パルスによる半導体超格子におけるコヒーレント集団励起の理論

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14540297
• 研究機関: 北陸先端科学技術大学院大学
• 研究代表者: 片山 信一 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 教授 (30018270)
• キーワード: コヒーレントプラズマ振動 / 半導体超格子 / GaAs p-i-nダイオード / コヒーレントフォノン / サブバンドラマンレーザー

研究概要

本年度の成果
半導体超格子の成長軸方向に沿って伝播するコヒーレント集団励起(ミニバンドプラズモン、LOフォノン)と発生するテラヘルツ(THz)電磁波の挙動を中心に、人工量子構造のコヒーレント振動とTHz電磁波発生の理論的研究を進めている。主題である半導体超格子については、ミニバンド占有効果を含めた量子論的誘電応答理論を発展させ、ミニバンドプラズモンの占有数依存性を調べた。結果は、実験的に見出され、謎とされていたある励起強度でのミニバンドプラズモン消失の起源を明らかにできた。しかし、ミニバンドプラズモン発生機構が未だに明確ではない。このために、超格子層がp-i-n構造の絶縁(i)層に作成されていることに注目し、バイアス印加のGaAs p-i-nダイオードから発生するTHz電磁波のコヒーレントフォノン発生起源を探った。この系では、フォノン発生が電子の速度オーバーシュートに起因することを突きとめた。本研究遂行中に取り上げた多重量子井戸(超格子)のサブバンド集団励起による誘導ラマンレーザーの理論に大きな発展があった。この課題は、現在注目されている量子カスケードレーザーに加えて、新しい光誘起のサブバンド遷移レーザーデバイスの創製に資するものである。

研究成果

• [文献書誌] S.Katayama, S.M.Maung, D.N.Thao, N.Kawaguchi: "Theory of Intra-miniband Plasmon in Semiconductor Superlattices"Conf.Digest, 28th Int.Conf.on Infrared and Millimeter Waves. JSAP Catalog No.031231. 237-238 (2003)
• [文献書誌] D.N.Thao, S.Katayama, T.D.Khoa, M.Iida: "Calculation of THz radiation due to coherent polar-phonon oscillations in p-i-n diode structure at high electric field"Semidconductor Science and Technology. 19・5. S304-S307 (2004)
• [文献書誌] S.M.Maung, S.Katayama: "Gain of intersubband Raman Lasing in modulation-doped asymmetric coupled double quantum wells"Physica E. 21. 774-778 (2004)
• [文献書誌] S.M.Maung, S.Katayama: "Studies of a new infrared Raman laser in modulation-doped asymmetric coupled double quatum wells"Conf.Digest, 28th Int.Conf.on Infrared and Millimeter Waves. JSAP Catalog No.031231. 281-282 (2003)