研究課題
基盤研究(C)
本研究では、超短光パルスにより半導体超格子(多重量子井戸構造)に励起される種々のコヒーレント振動の挙動および関連するテラヘルツ域の電磁波(レーザーも含む)発生機構を探った。成果概要を次の3項目に分ける。(1)超格子の成長軸にそって伝播するミニバンド内のコヒーレントプラズマ励起の理論を展開した。テラヘルツ電磁波測定や反射電気光学サンプリング実験データとの比較のために密度行列法をもとに誘電応答理論を発展させた。数値計算ではKronig-Penneyモデルをつかい、井戸層と障壁層厚みの比を変えてプラズモンの挙動を調べた。その結果、ミニバンドプラズモン周波数がミニバンド占有数へ離散的な依存性を示すことを見出し、この挙動がAlGaAs/GaAs超格子で観測されているテラヘルツ電磁波の発生・消失に結びつくことを明らかにした。(2)AlGaAs/GaAs超格子がGaAs p-i-nダイオードの絶縁域に形成されることから、GaAs p-i-nダイオード構造におけるフェムト秒パルスレーザー励起の超高速キャリアダイナミックスとコヒーレント縦光学フォノン振動を探った。テラヘルツ電磁波検出実験との半定量的比較から、コヒーレントフォノン振幅の増強にはキャリアの速度オーバシュートとの共振効果が重要であることを明らかにし、約150kV/cm以上の強電場では、テラヘルツ電磁波の強度に飽和効果が現れることを予測した。(3)パルス光照射による非対称結合量子井戸構造からのコヒーレント光(テラヘルツレーザー)発生の理論をつくった。集団的サブバンド間励起(プラズモン)によるストークスラマン散乱光の誘導放出過程がラマンレーザーの基本機構となることを指摘。レーザー周波数の決定には、誘導ラマン過程に関与するコヒーレントなプラズモン励起と光学フォノンとの相互作用が重要であることを明らかにした。
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