研究課題/領域番号 |
14540299
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
林 哲介 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (80026799)
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研究分担者 |
白井 正伸 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30303803)
渡邊 雅之 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (20240525)
田中 耕一郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90212034)
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キーワード | 相転移 / 電子励起 / 格子緩和 / インコメンシュレート相転移 |
研究概要 |
今年度は、強弾性および強誘電性の相転移を持つ結晶として知られているCs_2CdI_4とRb_2CdI_4結晶を対象として、構造相転移と電子励起状態,緩和の相関に関する研究を進めた。これらの結晶にMnイオン不純物を添伽した試料を作成し、不純物発光特性の温度による変化を調べ、以下のような結果を得た。 ●両結晶とも、Mnイオンによる吸収帯を光励起すると、緑色(G)発光と赤色(R)発光が観測される。低温で観測されるG発光は、温度が相転移点(Tc)を超えると強度が減少し、代わりにR発光が現れる。さらに温度が上昇すると室温近辺でR発光は弱くなり、再びG発光の強度が回復してくる。 ●低温のG発光の減衰時間はR発光の立ち上がり時間と一致していることが確認され、Tcにおける相転移によって、G発光の始状態からさらにR発光の始状態への格子緩和が誘発されることが明らかになった。 ●Cs_2CdI_4結晶では、高温の高対称相から温度低下に伴ってインコメンシュレート相転移があることが知られている。室温近辺におけるR発光とG発光の強度交代はこの相転移と対応していることが確認された。 ●Rb_2CdI_4結晶では、室温付近を挟んでエネルギーがわずかに異なる2種のG発光が入れ替わり、この変化に明瞭なヒステリシスが観測された。このヒステリシスは熱測定によっても確認され、インコメンシュレート相転移と思われる相転移の存在と発光スペクトルの相関が明らかになった。 以上のように、電子励起緩和の情報が相転移研究に有効な知見を与えることが示された。
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