研究概要 |
磁性半導体及び希薄磁性半導体についての理論的研究を行った。 方法は申請者らが既に開発した動的コヒーレント・ポテンシャル近似(動的CPA)による。 本年度は特に、スピントロニクスの材料として注目されている(Ga,Mn)Asのキャリア誘起強磁性の発現のメカニズムの究明に力がそそがれた。申請者は青山学院大学久保健教授と共同で、磁気的不純物状態の性質について、温度変化、磁化変化、キャリア濃度変化、キュリー温度、Mn濃度依存性だけではなく、交換相互作用依存性や非磁気的ポテンシャルの効果なども広く調べた。その結果、この系のキャリア誘起強磁性は、pホールが磁気的不純物バンド内でホッピングをして局在スピンを揃える、二重交換型作用によって引き起こされているという結論に至った。これらの研究成果は、2002年8月低温国際会議(広島)、9月物理学会(名古屋)、12月シンポジウム(仙台)、2003年3月国際会議(NTT厚木)、3月物理学会(仙台)などで発表され、アメリカ物理学会誌Physical ReviewやPhase Transitionなどで既に発表済みである。また現在、日本物理学会誌J.Phys.Soc.Jpnに投稿中である他、レビュー論文として、Recent research development in magnetism and magnetic materialsにも投稿中である。さらに、2003年8月に開かれる磁性国際会議(ローマ)とシンポジウム(ベルギー)でも発表する予定である。 最近青山学院大学古川信夫助教授も研究グループに加わり、動的平均場近似という新たな手法を使って、光学的伝導度等を計算し始めた。研究結果はいずれ学会、権威ある科学雑誌等で発表する予定である。
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