研究課題/領域番号 |
14540319
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
松川 倫明 岩手大学, 工学部, 助教授 (40221585)
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研究分担者 |
吉本 則之 岩手大学, 工学部, 助教授 (80250637)
吉澤 正人 岩手大学, 工学部, 教授 (30220619)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | 層状ペロブスカイトマンガン酸化物 / 超巨大磁気抵抗効果 / ヤーンテーラー効果 / 電子の軌道自由度 / ポーラロン / 巨大熱磁気効果 / polaron |
研究概要 |
本研究の目的は、CMR(超巨大磁気抵抗効果)型及びJT(ヤーンテーラー効果)不活性型層状ペロブスカイトマンガン酸化物単結晶のFM-PI相転移点近傍での熱伝導、熱膨張、弾性定数及び熱起電力を温度及び磁場の関数として精密に測定し、CMR効果を説明する有力なモデルの一つである軌道・格子相互作用による動的ヤーンテーラー効果の立場から、熱伝導異常、熱膨張異常、弾性定数の軟化の振る舞いを考察することである。 今年度は、CMR効果を示す最適ドープ領域のPr置換La_<1.2>Sr_<1.8>Mn_2O_7単結晶のab面及びc軸の熱伝導、熱膨張、熱起電力及び弾性定数を測定した。また、極端ドープ領域のJT不活性型Ca_3Mn_2O_7試料の作製を行い、電気抵抗、熱伝導、及び熱起電力を測定した。さらに、CMR型単結晶の電気抵抗及び磁化の圧力効果の研究も行った。 これらの結果から、次のことが明らかになった。 (1)最適ドープ領域のab面のフォノン熱伝導の振る舞いは、主にMnO_6八面体に局在するポーラロンのホッピングに連動した格子歪みによって制限されている。一方極端ドープ領域の熱伝導の振る舞いは、通常のフォノン熱伝導の振る舞いを示し、局所的格子歪みによるフォノン散乱の寄与が支配的な前者の場合とは対照的である。 (2)従って、巨大熱磁気効果の起源は、磁場印加によってMnO_6八面体の局所格子歪みが緩和されたために、フォノン熱伝導が増大したと結論される。 (3)熱伝導の磁場依存性は、磁化の2乗でスケールされ、比例定数がe_g電子の軌道自由度を反映していることがわかった。 (4)CMR型単結晶の電気抵抗及び磁化の圧力効果の研究から、軌道自由度を制御することにより、Tcの上昇が観測され、格子・軌道相互作用の重要性が示された。
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