研究課題/領域番号 |
14540330
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
山田 修義 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (40017405)
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研究分担者 |
小口 多美夫 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 教授 (90253054)
黒木 和彦 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (10242091)
渡辺 正満 理化学研究所, 播磨研究所, 研究員 (00300674)
中村 仁 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (50313416)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | 超伝導 / MgB2 / 放射光 / X線吸収 / X線発光分光 |
研究概要 |
2硼化マグネシュウム(MgB2)は、2001年その超伝導性が発見され、金属の超伝導体としては、その超伝導転移温度が39Kであり、これまでの23Kよりに遙かに高いことにより、注目されている。標準的な超伝導理論である、BCS理論によれば、転移温度の上限は、30K程度とみつもられており、これまでの常識を覆すMgB2の超伝導発現機構の解明は、重要な課題である。本研究では、2硼化物の単結晶試料について、放射光の偏光性を利用して、ボロンBのK吸収端付近でのx線発光・吸収分光の偏光特性測定を行った。偏光解析から、B-2pの部分電子状態密度のp σ軌道とp π軌道への軌道分離を行い、バンド計算と比較した。p π軌道では、フェルミ準位付近の電子状態密度は、エネルギーが変化しても、ほとんど変化せず、一様な密度変化を示すのに、p σ軌道では、フェルミ準位付近に、擬ギャップが開いていることを明らかにした。A1B2では、フェルミ準位は、擬ギャップの中にあり、フェルミ準位付近での電子状態密度は、非常に低い。MgB2では、擬ギャップより低いエネルギー位置に、フェルミ準位が在るので、高い電子状態密度をフェルミ準位付近で示すことが分かった。このことから、MgB2の超伝導には、p σ軌道の高い電子状態密度が、寄与していることが、分かった。 次に、電子間相互作用の強さを見積もった。MgB2では、電子相関が高い超伝導転移温度に寄与しているとの指摘があったからである。強い電子相関があると、電子構造がバンド計算と異なり狭くなる傾向が現れる。そのため、バンド計算との比較を試みた。A1B2では、p σ軌道の電子状態密度のエネルギー変化は、バンド計算と非常によく一致した。ところが、MgB2では、占有状態の電子状態密度は、バンド計算と合っていたが、非占有状態の擬ギャップが、バンド計算より1eV程度狭くなっていた。ホールがp σ軌道にあるとき、この現象が起こることから、この擬ギャップの減少は、電子相関によるものよりは、エキシトニック効果によるものと解釈された。すなわち、この系では、電子相関は、強くない系であることが分かった。
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