研究課題/領域番号 |
14540333
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
井上 順一郎 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60115532)
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研究分担者 |
多々良 源 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10271529)
伊藤 博介 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00293671)
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キーワード | 磁性多層膜 / スピン電流 / スピン蓄積 / 磁化反転 / 2次元電子ガス / 強磁性半導体 / 磁気抵抗効果 |
研究概要 |
スピンエレクトロニクスの分野においては、強磁性多層膜の磁化反転機構スピン注入、スピン蓄積、スピン電流という現象がどのように実現され、新機能に結びつくかが重要である。これらの現象に関する理論的研究の成果を以下にまとめる。 (1)強磁性単電子トンネル接合を利用した磁化反転機構 単電子トンネル接合ドットのハミルトニアンを直接対角化し、エネルギー準位の分布を計算した。その結果、遷移金属からなるドットでは主にd軌道からなる間隔の狭い準位とsp軌道からなる間隔の広い準位からなることが確認された。各々独立にウィグナー分布に従うことが明らかにされた。 これらのエネルギー準位の分布とクーロン閉塞を取り入れて、電流-電圧関係を計算することにより、電流方向により磁化方向の安定性が変わることを示した。(論文準備中) (2)2次元電子ガスにおける拡散伝導とスピン蓄積 スピン軌道相互作用が存在する2次元電子ガスの拡散伝導理論を構築し、電気伝導度の理論式を導いたその結果、電気伝導度にはスピン依存性はないものの、電流と垂直方向にスピン蓄積が生じることを明らかにした。 (3)強磁性半導体の相互作用とキュリー温度 (Ga-Mn)As強磁性半導体における磁性不純物間の有効相互作用を表す表式を求め、それからキュリー温度の計算を行った。実験結果と矛盾しない結果が得られた。 (4)非磁性層を含む強磁性トンネル接合における磁気抵抗の振動 この現象についてモデル計算を行った結果、系に内在する乱れの効果が重要であることが明らかになった。計算の結果、実験で得られている非磁性層厚に依存するTMR比の振動など、特徴的結果が理論的に解明された。
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