1.軌道自由度のあるハバード模型のモット転移を動的平均場理論により調べた。フント則結合Jの効果により、モット転移の臨界相互作用U_cが急速に小さくなる。また、J=0では2次転移としておこるモット転移がJ≠0では1次転移へと変化する。 2.軌道自由度のある1次元ハバード模型を数値的厳密対角化法により調べた。フント則結合Jとクーロン相互作用Uの共に大きな強相関領域で実現する完全強磁性は、結晶場分裂Δの効果により不完全強磁性へと変化する。さらに、不完全強磁性近傍の金属状態では超伝導が実現する。 3.オンサイトのクーロン相互作用Uに加えて、最近接サイト間のクーロン相互作用Vをもつ1次元拡張ハバード模型の金属絶縁体転移を、数値的厳密対角化法により調べた。有限系に対する厳密対角化の結果を初期値として繰り込み群の方程式に代入することにより、電荷ギャップや臨界指数をU-V平面上で精度良く求めた。 4.ハバード相互作用Uと電子フォノン相互作用gの全領域で、ハバード・ホルスタイン模型の金属絶縁体転移を動的平均場理論により調べた。Uが大きな領域ではモット絶縁体へ、gが大きな領域ではバイポーラロン絶縁体へと転移する。前者は常に2次転移であるが、後者はUが大きい場合には1次転移となる。 5.周期的アンダーソン・ホルスタイン模型を動的平均場理論により調べた。電子フォノン相互作用の増大と共に準粒子の有効質量が増大し、強結合領域では有効質量が100倍以上になる重い電子状態が実現する。それに伴って、フォノンのソフト化や大きな格子の揺らぎが見られる。また、強結合領域ではイオンの有効ポテンシャルが、単純な調和型ポテンシャルからdouble-well型ポテンシャルへと変形する。
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