研究概要 |
CeMIn_5(M=Ir, Co, Rh)という物質群は重い電子系の性質を示すことで注目されている。特にCeIrIn_5とCeCoIn_5はそれぞれ400mKと2.3Kで超伝導転移を示し、CeRhIn_5は常圧下でネール温度T_N=3.7Kの反強磁性体であるが、1.7GPa以上の高圧下ではT_c=2.1Kの超伝導体に変わる。さらに、Irの一部をRhで置換したCe(Ir_<1-x>Rh_x)In_5では、x=0.5でT_cが倍以上も上昇し、しかも、広いIr濃度にわたって超伝導は反強磁性秩序と共存する。 本研究の目的は、Ce(Ir_<1-x>Rh_x)In_5における超伝導と反強磁性秩序がどのような形式で共存するか、また、CeRhIn_5においては臨界圧付近の高圧下で磁性と超伝導がどのように関わりを持つかを核磁気共鳴法で調べることである。 得られた結果は、CeRhIn_5については、1.6Gpa〜1.9Gpaの高圧下で超伝導と反強磁性秩序が均一に共存することがわかった。この圧力領域では、Ce電子に起因する磁気モーメントが常圧下のものと比べてかなり減少していることが示唆された。また、超伝導転移温度以下では、1/T1(スピン格子緩和率)にHebel-Slichterピークが見られず、異方的な超伝導状態が実現していると考えられる。さらに、超伝導状態でも低エネルギーの磁気励起が強く残っていることを明らかにし、磁性と超伝導が共存している状況下の新しい側面を明らかにした。 一方、Ce(Ir_<1-x>Rh_x)In_5において、Ir濃度の増加とともに、ネール温度が一旦上昇し、x>0.5以上では急激に減少することを見い出した。しかし、T_N以下で超伝導が現れ、しかも、磁性と共存した領域(x=0.35〜0.55)で超伝導転移温度が最高値を迎えることを明らかにした。さらに、超伝導と反強磁性秩序は同一の電子によることを明らかにした。
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