本年度の研究実施結果は以下の通りである。 1 擬一次元電気伝導体NbSe_3の単結晶試料を異なる条件で作製し、実体顕微鏡で観察した結果、リング状結晶、円盤状結晶、従来から知られているウイスカー状結晶ができることを確認した。これらの結晶のうち、本研究では円盤状結晶を用いるが、その取り出しや移動をウイスカー状結晶と同じ方法で行ったところ、結晶に与えるダメージが大きく、物性を正確に測定することができなかった。ハンドリングによるダメージは、安定した電極を作製するためにも、できるだけ減らす必要がある。これらの結晶の取り出しや移動など、ハンドリングの方法を確立するため、現在、試行錯誤を繰り返しながら、その方法を検討している。 2 電気抵抗の温度依存性を測定するためのクライオスタットと抵抗測定装置を作製した。これらを用いて、異なる条件で作製したNbSe3のウイスカー状結晶について、電気抵抗の温度依存性を測定し、試料の評価を行った。その結果、我々が従来作製していたのと同様のウイスカー状結晶ができていること、作製条件を変えることによって、試料の質も従来と同様に変化することがわかった。現在、リング状結晶、円盤状結晶の抵抗測定を試みている。
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