研究概要 |
(1)中性コロイド分散系における、コロイド間に働く長距離流体力学的相互作用のガラス転移点近傍での重要性を実証するために、研究所に設置されているスーパーコンピュータを使い、剛体球系に対して二種類(分子運動学的シミュレーション、ブラウン運動学的シミュレーション)の大規模計算機実験を行った.流体力学的相互作用を考慮しないときは、例えコロイド半径に6%の分散を加えても、両実験とも液体-固体の一次相転移を示し、ガラス転移を生じないことが数値的に示された。また、液体状態での長時間拡散係数は、両実験の結果とも徳山が最近提案した理論式と良く合うことも示され、流体力学的相互作用がガラス転移には不可欠であると言う、徳山理論の正当性を裏付けることとなった. (2)擬2次元における磁性コロイド分散系での液体-固体転移を研究するために、研究所に設置されているスーパーコンピュータを使い、計算機実験を実行し、実験を定性的に説明しうる結果を得た.現在は、モデルを改良し、実験で示されている擬2次元でのガラス転移現象の解明を行うべく準備を進めている. (3)徳山は、ガラス転移現象のメカニズムを理論的、計算機実験的および実験的に解明するために、ノーベル賞受賞者4名(S.Chu, A.J.Heeger, I.Giaever, R.B.Laughlin)を含む、世界の第一線級の科学者30名(国内招待者2名、西沢潤一、井上明久)を仙台に招待し、第3回国際シンポジウム「Slow Dynamics in Complex Systems」を11月3-8日に開催した.383名(外国人130名)の参加の下に、活発な研究討論・議論がなされ、これからの研究への大いなる礎となった.プロシーディングスはAmerican Insutitute of Physicsより平成16年8月に出版予定である. (4)徳山は、21世紀COEプログラム「流動ダイナミクス国際研究教育拠点」の事業推進担当者の一人として、水のガラス化の研究を10月よりスタートさせ、その可能性を探っている.
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