研究課題/領域番号 |
14540357
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
川村 光 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30153018)
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研究分担者 |
吉野 元 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50335337)
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キーワード | フラストレーション / カイラリティ / スピングラス / パイロクロア / 相転移 / モンテカルロシミュレーション / 遥動散逸定理 / ハイゼンベルグモデル |
研究概要 |
カイラリティ(キラリティ)とは、秩序状態の構造が局所的に右手系か左手系かを表す自由度として定義される量であるが、近年、固体統計物理の分野においてカイラリティ自由度がしばしば重要な役割を果たすことが明らかになってきた。本研究では、カイラリティ自由度が関わった多自由度系特有の協力現象、相転移現象、とりわけスピングラスやパイロクロア磁性体等のフラストレート磁性体の磁気秩序化現象を直接の対象として、主として数値シミュレーションによりカイラリティの秩序化現象の理論的解明を進めた。具体的成果として、1)スピングラスの磁場中相図に関し、弱いランダムな磁気異方性を持った3次元ハイゼンルグスピングラスの磁場中の諸性質を大規模熱平衡シミュレーションにより調べ、その磁気相図を定めた。2)3次元ハイゼンベルグスピングラスの非平衡ダイナミックスを非平衡モンテカルロシミュレーションにより詳細に解析し、スピングラス秩序相において1ステップ的な揺動散逸定理(FDT)の破れを観測した。3)3次元パイロクロア格子上のハイゼンベルグモデルに対し、磁気異方性やランダムネスの効果を熱平衡シミュレーションにより調べ、そのスピン凍結や磁気相転移の性質を明らかにした。
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