14年度での具体的な研究実績は 1 PT対称な量子系に対する相図の非線形積分方程式を用いた数値的解明 2 通常の二重井戸系におけるインスタントン効果の導出である。PT対称系のスペクトルに関する情報は、通常の量子系のストークス係数とよばれる解析性をあらわす量に含まれていることがすでに以前の解析により明らかになっている。そこで非線形積分方程式を用いて、通常の量子系のエネルギー準位を決定する現有のプログラムを、このPT対称系のものに変換する作業をまず行った。 当初の計画では性質よい補助関数を探してこれを行う予定であったが、最終的にはbrute forceに、有限個の束縛状態のデーターをとりあつかい、複素エネルギー平面上で定義されたストークス係数の零点の情報をコードした。 これは独立に複素WKB法とよばれる一種の漸近展開法によって相図の概形を近似的に評価する予定であったが今年度内にはこれが達成できなかった。これを次年度以降、なるべく早急におこない、結果をまとめて出版する予定である。
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