研究概要 |
可積分多体系と一体量子力学系との関係について、ひきつづき研究をおこなった。 昨年度までの研究で、スケーリング極限、すなわち前者の問題において熱力学的極限をとってしまったものと、後者の固有値問題という対応が明らかになってきた。 それでは極限をとる以前、すなわち有限サイト上で定義された可積分多体系とある種の線形微分方程式系に対しこの対応が成立するや否やを問うのは自然な疑問であろう。 今年度の研究により、前者における典型的な模型である、6頂点模型およびその自然な拡張と、後者においてもっとも重要な方程式系のひとつである超幾何関数系の間にこの対応が成立する事を明らかにし、出版した(論文2)。この考察はさらに高次の微分方程式系にも拡張され、いわゆるA型に関して対応づけが明らかになった。後者の結果に関する投稿は準備中であるが、口頭での発表は、京都大学数理解析研究所における国際会議においておこなわれた。 共形場理論の変形問題は、技術的に上で述べた問題と非常に近い。諭文1において、長らく懸案であった、Virasoro minimal模型に関する(1,2)摂動に関しての熱力学的ベーテ仮説方程式に対して上の手法をもちいて、簡単な例に関して考察をおこなった。それ以降この問題はさらに一般の場合に上の手法をもちいて解決できる事が明らかになり、その結果を、APCTP(韓国)における国際ワークショップで口頭発表した。これに関する論文も現在投稿準備中である。
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