| 研究概要 |
本研究計画の目的は円柱列を過ぎる流れが振動流へ遷移し,カオス的な流れを経て乱流に遷移する道筋を明らかにすることである.レイノルズ数が小さいとき,流れは円柱列の周期と同じ周期をもつ定常な流れである.レイノルズ数が大きくなると定常流の不安定性によって振動流へと遷移する.不安定モードは,円柱列の周期と同じ周期をもつモードによる不安定性,2倍周期,3倍周期などをもつモードの不安定性がある.2002年度においては円柱列ではなく,角柱列を過ぎる流れの不安定性と乱流への遷移について重点的に調べた.特に,角柱列を過ぎる流れにおいて,以前申請者が見いだした定常合流現象だけでなく,流れが振動しているときにもウェイクの非線形相互作用により,隣り合う角柱から同期して渦が放出される現象を発見し,その発生機構の物理的な説明を行った.このとき,渦放出には同位相渦放出と反位相渦放出の2つの非線形干渉があることを明らかにした.この研究成果はFluid Dynamics Researchに投稿し,受理されたので近く出版される予定である.また,流れと平行におかれた2本の円柱を過ぎる流れについて実験と解析および数値シミュレーションにより調べ,物理的に興味ある結果を得ている.来年度以降の研究において,最終的に円柱列を過ぎる流れの分岐ダイアグラムを求め,乱流への遷移の道筋を明らかにする.
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