研究課題/領域番号 |
14540386
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研究機関 | 特殊法人理化学研究所 |
研究代表者 |
原田 慈久 理化学研究所, 放射光物性研究室, 基礎科学特別研究員 (70333317)
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研究分担者 |
楠 正美 明治大学, 理工学部, 教授 (30061998)
杉浦 美羽 大阪府立大学, 農学部, 助手 (80312255)
高田 泰孝 理化学研究所, 放射光物性研究室, 先任研究員 (90261122)
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キーワード | 軟X線発光 / 軟X線吸収 / 金属蛋白質 / マンガンクラスター |
研究概要 |
本課題では、光化学系IIの生体内に存在する状態を保持して測定を行うことを目的として、これまで固体試料、表面吸着試料、または気体に限定されていた軟X線吸収・発光実験を溶液試料にも適用するために、1.超高真空中で溶液試料を保持するためのSiN膜付溶液セルの開発を行った。 マンガンクラスターのMn2p励起分光の予備実験は、始めに高エネルギー加速器研究機構Photon Factory BL2cで行った。2価〜4価の低・高スピン状態の各種マンガン酸化物を同時に測定し、参照試料とした。その結果、マンガンクラスターのMn2p内殻吸収測定を行う10分以内の時間で軟X線照射破壊の影響によりマンガンクラスターが全て2価高スピン状態になっていることを確認した。そこで、軟X線の影響を最小限に防ぐため、2.可視光を切照射をせずに試料を超高真空中に導入し、液体窒素冷却下、10μm以内の精度で試料位置を制御する機構の開発を行った。 1.2.のシステムを用いたマンガンクラスターのS_0状態の軟X線発光の実験をSPring-8 BL27SUにて試みた。その結果、1.に関しては超高真空を維持したままマンガンクラスターを含む光化学系IIの溶液試料を保持することに成功したが、2.に関しては光の入射軸と溶液試料位置、及び発光分光器の光軸を合わせるために必要な精度を満たすことができず、有意なシグナルを検出することができなかった。現在、試料位置の特定を容易にするためのSiN膜付溶液セルの改良、及び溶液試料の高真空中への導入、冷却、交換を簡便に行うためのシステムの改良を行っている。
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